このところ、設計VEに関わる国の動きが活発化しています。国土交通省は、関東地方整備局を中心に設計VEを設計プロセスに組み込むことを宣言しています(下記新聞参照)。
横田尚哉は、1997年度より国の設計VEに関わり始め、2002年頃にはスタンダードとなる「設計VEガイドライン(案)」の策定にノウハウを提供してきました。そして、横浜国道、千葉国道、高崎国道、神奈川県、群馬県などの業務に設計VEを実施してきました。もちろん、関東以外でも多数の実績があります。
私が気になることは、折角普及しているVEでも、正しいVEが行われていなければ意味がありません。《VEを実施する》ことが目的になってしまってはいけないのです。効果的なVEが実行され、《国民利益を高める》モノでなければなりません。
公共事業があるべき姿に向かっていることは、とてもうれしいことです。国民にとって満足度の高い公共事業の実現に向かって、ますます普及していくことでしょう。
設計VEの取組加速−関東整備局、全事業実施へ環境整備
関東地方整備局は、公共事業のライフサイクル全般で一体的にVEを実施する環境を構築するため、インハウス設計VEの取組みを加速する。04年度からの4か年で、VE普及の組織的取組みを進めるための基本手順の習得やリーダー養成、バリューマネジメント活動を実施してきた。08年度からは調査から計画、設計、施工、維持までの公共事業ライフサイクル全般について一体的にVEを実施するための環境構築を目指す。
設計VE導入には、コスト縮減に対する先詰まり感や若手技術職員の育成課題などを解決し、事業実施の初期段階でのコスト縮減や若手技術者に事業の方向を判断する力を身に付けてもらう狙いがある。導入に当たっては、「VE5原則」(使用者本位の原則、機能本位の原則、創造による変更の原則、チームデザインの原則、価値向上の原則)の浸透を図る一方で、「OJTによるインハウス設計VEの実施」の2本柱で推進してきた。
実施体制は、発注者職員によるワークショップ方式を採用。基本的な進め方は、@事務所VEチームによる代替案の検討(2日間)Aコンサルタントによる代替案の具体的な検討(約1週間)B事務所VEチームによる評価・とりまとめ(1日間)――という流れだ。事務所の設計担当者をチームリーダー、事業に関係する事務・技術担当者をチームメンバーとする事務所VEチームが事務所長や技術担当副所長、発注担当課長ら幹部職員に提案を報告する。幹部は、決定した事項を設計担当者、工事発注担当者に指示する仕組み。本局の支援事務局(企画部技術管理課)は、事務所VEチームを支援するため、相談に応じたり、VEのスペシャリストであるCVS資格者を派遣する。
同局は、04年度から07年度までに26件の設計VEに取り組んでおり、07年度は6事務所がインハウス設計VEを実施した。去る7日、さいたま市の合同庁舎2号館会議室で「関東地方における設計VE推進のための意見交換会」を初めて開催したが、同局職員だけでなく、1都8県・4政令市の関係者、北陸と東北整備局の職員らも参加。横浜国道事務所など5事務所と群馬県による取り組み事例の発表が行われた。
(2008/03/11 日刊建設産業新聞)
|
|