横田尚哉のＶＥの全て　ＶＥの歴史｜横田尚哉のファンクショナル・アプローチ＆バリュー・エンジニアリング

	横田尚哉のＶＥの全て　ＶＥの歴史

ＶＥの発明

　1947年にアメリカのGE社（ゼネラル・エレクトリックス社）において、VEが誕生しました。当時の調達マネージャであったローレンス・Ｄ・マイルズ氏が、「アスベスト事件」を通してモノの調達に新たな改善手法を見出し確立されました。当時は、VA（バリュー・アナリシス）と呼ばれていました。

ＧＥ社のアスベスト事件

　第二次世界大戦が終わった直後、ＧＥ社で「アスベスト事件」が起こりました。アメリカの大手電気メーカであったＧＥ社は、製品の製造過程で塗装する必要がありました。ある時、消防署から工場内の監査が行われるということで、工場内の点検をしました。すると、塗装の際に床にひいているアスベストが古く、新しいものに交換する必要があることが判明したのです。当時の調達マネージャ（ローレンス・Ｄ・マイルズ氏）は、新しいアスベストを一生懸命に探したのです。ところが、必要なだけのアスベストが見つかりませんでした。途方にくれていたところ「アスベストは、何のために必要なのか」と質問されたのでした。そのとき、自分が探しているのは「アスベスト」ではなく、「不燃材料」であることに気が付いたのです。つまり、「モノ」そのものからアプローチするのではなく、「モノ」のファンクションからアプローチするべきだということです。この考え方は、他にも使えるかも知れないと研究した結果、１９４７年にバリュー・アナリシス・プログラムが開発されたのでした。これが、今のバリュー・エンジニアリング（ＶＥ）です。

ＶＥの展開

　1954年にアメリカの国防省がGE社のVAを武器調達の改善技法として導入し、VEと名づけました。その後、アメリカ全土に広がりました。

　日本には1960年に紹介されたことをきっかけに電機業界や自動車業界で一気に広がりました。

　公共事業には、1997年に建設省（当時）が試行を始めたものの、本格的な普及にはいたりませんでした。2002年に大分県が設計VEの導入を始めたのをきっかけに全国の地方自治体に広まり、国土交通省や他の公共事業発注者に普及しました。